2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

人間以外の生命体における自由

カント哲学、実存主義をはじめ、ヨーロッパ哲学は、「人間は自由な存在である」ということを大前提にしている。そして、人間以外の生命体については、「理性が無い」「本能という自然必然性による行為しかできない」と言われる。つまり、人間だけは自然必然…

帰結主義と義務論

効用主義は、帰結主義、つまり結果の方から行為の善悪を決める。義務論は、結果のいかんを問わず、「なすべきこと」をなす主義であると言われる。 効用主義は、事前に「最大多数の最大幸福」という帰結をイメージし、それに向かって行為をすることを善とする…

倫理、自然、社会、個人

たった一人で生きるものにとって、規範も自由もへったくれもあるまい。それどころか、言葉も不要、思考も不要、いや、そもそも、生れてから死ぬまで一人である人間は、人間であり得るかどうか疑問である。 個人は社会を前提とする。人間は、自然を前提とする…

倫理の貧困

哲学的認識論だけではなく、哲学的倫理も貧困だ。 そもそも、倫理は個人レベルではなりたたないのに、完全に視点を個人にあててぐちゃぐちゃ言っている。ロビンソンクルーソーの生活といえども、かつて自分が属していた社会の仕組みを、個人レベルで明瞭に示…

現代における哲学的認識論のくだらなさ

現代における哲学認識論ほどくだらないものは無いと思う。 何故かといえば、それは、それを語ることが世界に何の衝撃も加えないからだ。 かつて唯物論は、キリスト教の神の否定を意味した。それは、ヨーロッパ世界の政治的社会的な支配の根幹を揺るがすもの…

映画「愛の朗読者」 を見た

今日、みっちと表記のビデオを見た。映画は、小説より粗いところもあるが、それ以上のところもある。 俳優は素晴らしかった。ハンナ役、マイケル役もそれぞれいい。 作者のBernhard Schlink は、現代ドイツ人の負った「一生の負い目」を、1人の少年の半生と…

何だか分かったような気がする

この間、どうも自分は死を身近に感じるようになった。そして、少しものごとを深く、鮮やかに感じるようになった。 何故か? Kが死に、その妻が死に、大学時代のJWが食道ガンになったと告げられたのは大きい。でも、一番大きかったのは、母の死ではなかろうか…

郷愁としての自由

私は焦る。自分は自由な存在である筈なのに、奴隷のように感じる。何の奴隷か? 過去からの習慣の継続の。そして、段々と、今や急速に、生の終焉が近づいている。「自由」、かつてそれは自分が属していた家族や故郷の粘りつくような視線からの逃走だった。都…

生まれたばかりの感性

しばらく自分を隠し、周囲に本当の自分を見せないように調子をあわせているだけのつもりが、本当の自分というものが消え去り、ふにゃふにゃの骨無し人間が本当の自分になった。 よくある話だ。でも、もう遅いなどと思わない。これからだって、生まれたばかり…

想像力の限界

どうも人間は鳥のように自由に世界を飛びたいと思う動物らしく、そういう歌が沢山ある。世界が観念の産物だとする観念論者に従えば、仮に鳥になることを本当にリアルに夢想する人がいたとすれば、その人は鳥になれたのではないか? しかし、「鳥になったぞ」…

この際、自分を見る自分になってしまおう

自分を語るという事は、自分を分裂させること、自分を見る自分を創りだすことだ。 そこで見た自分が嫌なら、それを見ている嫌いになっている自分は、嫌いな自分じゃない。 それなら、自分を見る自分になりきってしまえばいいじゃないか? それが無だというな…

自分が嫌になる時

自分が嫌になる時は、それは今 自分を嫌になる自分が嫌 自分を好きになれないのに、自分を保身する自分が嫌 自分を貫けないのに、自分を主張する自分が嫌 自分がなれないものに、固執する自分が嫌 自分自身が分からない自分が嫌

死にたい、は、死にたくない

良く言われることだが。死にたいと言う者は「本当は」死にたくない。 二つ。一つは、その人は「死ぬ」という事の意味が分かっていない。もう一つ、死にたいと思うのは、生きたい自分が生きられないと思うからなので、生きたいことには変わりはないということ…

限られた時間で

人生の残りも、長くてあと10年から15年くらいだろう。 どうしよう? 後悔しない人生をまっとうするにはどうしたらいいんだ。と焦るこの頃だが、最近、妻がやたらと可愛く感じる。どうしてなんだろう。お互い、一緒に最終コーナーを回ったと感じるからかなあ…

逃げない精神

我々が住んでいる世界は、急速に危険な場所になってきたような気がする。「どこかに逃げる場所がある」と思えればまだいいが、今や地球上で安全な場所はあまりない。 仮にあっても、人口の多くが危険に曝される事態になれば、人間は安全そうな場所に殺到し、…

現時点の ethical climate

ethical climate は、サイモン ブラックバーンという倫理哲学者が Being Good という本で使っている言葉で、とても有効な言葉だと思う。 ethical climate は、時代や、民族の共通的な精神状況のことを言い、その中にいる人は、自覚なしに、それに支配されて…

哲学史

哲学者の研究なんて、と思っていたが、色々読むとやっぱり意味がある事が分かる。 昔、ヘーゲルを読んだ時の衝撃は、「自分が考えたこと、考えそうなことは、殆ど過去の哲学者が述べていた」ということだったことを思い出した。哲学史は、人間の思考の発展過…

死ぬ前に

いずれ死ぬという感じが拭えない。死んだら、どんなに妻が泣くだろうかと思うと、いたたまれない。できれば、早く忘れて、もっと楽しい人生を、おくって欲しいと切実に思う。あの世の存在を欲するが、どうもそれは無さそうだ。きっぱりと、死ねば何も無いと…

美しき天然

子供の頃、近くにサーカスがやってくるとむやみに興奮した。「美しき天然」のメロディが、もの凄く心をかき乱したなあ。このメロディとは関係ないが、「自然」より、「天然」の方が、より「まったく手を加えない、純粋に自然に生成されたもの」という感じが…

ゾロアスター

ゾロアスターについて、ある程度知るとそれが今日まで生き延びていることの不思議さと、宗教そのものの不思議さ、特にその生命力に驚かされる。地域や人種を超え、世代を超え、時代を超え、たとえマイナーであろうと、生き続ける、その生命力に。