何だか分かったような気がする

この間、どうも自分は死を身近に感じるようになった。そして、少しものごとを深く、鮮やかに感じるようになった。
何故か? Kが死に、その妻が死に、大学時代のJWが食道ガンになったと告げられたのは大きい。でも、一番大きかったのは、母の死ではなかろうか? 母は、とても元気な人で、周囲も本人も120歳まで生きそうだと本当に思っていた。そして、順番として自分は母より前に死ぬ事はないだろうと、漠然と思っていた。自分の死は、母が死ぬ前は、漠然とした未来の話だったのだ。だから自分が死ぬことの現実感がなかった。
ところが、現実に母が死んでみると、「そうか、人は死ぬ。自分はもう何時死んでもおかしくない」ということが、実感を持って分かった。
葬式や火葬にいくつも立ち会っているうちに、死を迎える心の準備が進んだ。沈みがちになったり、むやみと周囲に優しくなったり、急に恐怖が湧いたりした。影が光をくっきり見せるように、死は生を鮮やかに見せる。死のない生はない。