映画「愛の朗読者」 を見た

今日、みっちと表記のビデオを見た。映画は、小説より粗いところもあるが、それ以上のところもある。
俳優は素晴らしかった。ハンナ役、マイケル役もそれぞれいい。
作者のBernhard Schlink は、現代ドイツ人の負った「一生の負い目」を、1人の少年の半生と重ね合わせ、ドイツ人のぎりぎりの真実として描いた。
虚しさと郷愁、断罪と許し、妥協の許されない過去が、まるで亀裂の入った壁の隙間から見る情景のように、常に見えてしまう。
高いプライドをもち、文字の読み書きのできないことが知られることを死よりも恐れ、それゆえ一生を収容所で暮らすことになったハンナ。
一度は愛した彼女を哀れむマイケルと、ハンナを決して許さない生き残ったユダヤ人。
ハンナの貧しさとあまりに対照的な、マーサの豊かな暮らしぶり。その描き方は、ユダヤ人から厳しく批判され得るところだろう。
ドイツ人は、どのように、民族の一員としての屈託の無い明るさを取り戻すことができるのだろうか? ユダヤ人もまた。
そして、当然のことながら、そこから人間の原罪(あるいは高貴さ)を俎上にのせることになる。