現時点の ethical climate

ethical climate は、サイモン ブラックバーンという倫理哲学者が Being Good という本で使っている言葉で、とても有効な言葉だと思う。
ethical climate は、時代や、民族の共通的な精神状況のことを言い、その中にいる人は、自覚なしに、それに支配されている。
Being Goodの中には、ヒトラーが成功したのも、「特定の人種や国民の 純粋に本来的なものというイメージ、その純粋性が脅かされているという恐怖」が、その時代や民族の ethical climate の中にあって、ヒトラーがそれにうったえることができたという例があげられていた。
現在の世界に立ち込めている ethical climate、それは、ヒトラーが登場してきた頃のものと似ているような気がする。
例えば、「中華思想」、例えば「自由の米国のティーパーティ」、例えば、「美しい国の日本人」、例えば・・・・。これらは純粋の原型の美しさと偉大さへの覚醒、それが脅かされていることへの怒り、というethical climateだ。

ethical climate は、ある程度変えられるが、基本的には川の流れのように、一方向に流れだすと容易には変えることができない。
そもそも、ある ethical climate は、どうして、どのように形成されるものか? それに気がつくにはどうしたらいいか? その是非をどう判断し、どのように行動すべきか? それは大きな問題だ。