戦争の原因

そもそも「戦争」には、何か本質的に共通の部分があり、その原因もまた共通する何かがあるのだろうか?
それは「人類」が負っている宿命的な種としての特性なのだろうか? 戦争は、人間の意志を媒介にしない限り起きない。それは、国家機関を総動員し、国民を戦争に巻き込む、相当に意志的な行為である。その意志の根源は、欲望か、理性か、感情か?
そして、一国が戦争を決意する時、戦争は止められない。一たび起きてしまうと、相手側は自動的に戦争に巻き込まれ、それを止めるまでには、もの凄い消耗と惨劇が必要になる。
つまり、戦争は一国でもその決意をすれば、起きてしまうということである。
とすれば、戦争の本質は、本当に国家間の争いなのだろうか? あるいは、国家が国民を統治する能力を保持するために行うもの、つまり本質的に内政である可能性はないのか?一国の政府が 国家権力を保つために、戦争以外に手段がないと判断される時、戦争は起こされる。
確かに、戦争に至るまでの過程では、小トラブルがあり、政治対立があり、経済摩擦があり、領土領海の支配をめぐるトラブルがあり、互いに引くに引けない事情が重なっている。しかし、最終的には、当事者のいずれかが、「戦争をしないと国家統治能力が失われる」と感じるために、戦争を決意するのではないだろうか。