共同体、脱共同体

全ての倫理問題は、複数の人間の間の「あるべき関係」をテーマとしている。そのこと自体、人間が共同体内存在であることが前提とされている。しかし、自らが属する共同体から脱することを合理化する論理も、倫理上の最大のテーマである。共同体から脱する時、特定の共同体からの脱出であるが、共同体そのものからの脱出という意識が求められる。自由の意識は、共同体そのものからの脱出の意識である。なぜなら、自分を規制するものは、特定の共同体ではなく、共同体そのものだから。しかし、共同体を求め、そこに帰属しようとする欲求も極めて強い。当たり前だ。それは人間が人間であるための、条件だからだ。この二つは、結局人類最大の矛盾であり、謎なのではないか?