白い牙の自由

動物は本能の命じるままに生き、そこに自由な意志は無いという話がある。自分にはどうしても、そうした発想を正しいと思うことが出来ない。人間に飼われた狼と犬の子である「白い牙」が、野生に戻るのは、「自由になった」気がする。人間の支配の下に生きることから、野生で自分の力で生きるようになることは、自由になることではないのか? たとえそれが、いかに「可愛がられていた」状態から、「自然の脅威に脅かされる」状態への境遇の変化であってもだ。