カント君の信念

カントは、人間が、理性的な信念に基づいて、つまり、感情ではなく、公民としての普遍的見地において考え抜いた結果「正しい」と確信できたものは、何時か達成される、あるいは達成に向かって絶えず接近できると考えたと思う。それは、殆ど「希望」に等しいと思うのだが、そんなヤワなものではなく、理性的な信念なのである。
カントは、戦争にあけくれていた時代のヨーロッパにいながら、晩年に「恒久平和のために」を書いた。それが、国際連盟の理念となり、さらに国際連合のベースになった。連盟も連合も、常に「無力」と言われてきた一方で、いかなる国もそれを完全に無視できなかったが故に、恒久平和へと接近する基礎となっている。
カントさんの理性的信念は達成されるのだろうか? 
カントさんは、いや、達成できてもできなくても、それを目指すのが人間の義務である言った。でも、カント君は思う、そういう人間の義務が普遍的な真理なら、それは何時か達成される筈だと。何という楽観主義者だろうか。しかし、それは誰も否定できない理念なのだ。どんなに馬鹿にされても、カント君はくじけない。カント君は、定言命法の理念は、希望の根拠だと思っている。
僕は思う。子供たちを愛する者は、誰だってカント君と同じ思いだと。