理想を求め、冷静を保つ

今回の災害では、人間のとてつもない素晴らしい側面が現れた。
それは主に災害にあった日本人に向けられた賛辞だが、そこに直ぐに反応した世界中の人々にも言えることだ。本当に素晴らしい。
 そこから、一足飛びに、東北に理想的な広域自治体を創ろうという話しがある。
 しかし、現実はそんな簡単なもんじゃあないだろう。確かに、人間には、神や仏に擬せられるような、素晴らしいところがあって、時折、それが表面に現れるが、やがて、やはり情けない弱さが出てきて、「やはり人間だなあ」とか「日本人は駄目だなあ」とかいう話が出てくる。
 理想のための自己犠牲は熱狂や強い信念を要するが、それは一時的であったり、頑迷さと裏腹だったりする。
 我々は、素晴らしいことを素直に称賛し、情けない話しにもあまりがっかりし過ぎないことが必要だ。あくまで、人間を信じる粘り強い精神を持ちたい。
 それは、理想を求め、冷静を保って、どんなことにも希望を見るということを意味する。