ヘーゲル

T教授と相談して、修士課程での研究テーマとして「ヘーゲル国家論」を選んだ。あまり深く考えていなかったのだが、ほっとした。
と言うのは、自分が50年近く前に一知半解ながら、かなり一生懸命読み込んだ「エンチクロペディ」や「精神現象学」などの余韻を心に残しているからだ。ヘーゲルは、自然哲学などを論じたものはまさに眉唾ものだし、他にも歴史的現実を無理やりヘーゲル的な論理に還元しようとするところがあって、「役に立たないなあ」というイメージもあるが、他方では、これほど膨大な知識を持って、歴史上の哲学者を渉猟し、一つの哲学体系に展開していることの魅力は凄い。
ヘーゲル後、歴史と人間については素晴らしく研究が進んだが、それらを総合する哲学的な考察においては、まだまだヘーゲルに学ぶところが多いし、現にヘーゲルにヒントを得た名論文も多数ある。
自分は、まずヘーゲルをきっちり読み込んで、ある程度の確信を持ち、さらに進んで、国家と戦争について考えてみたい。