歳をとって感動すること

年寄りになると、感性が鈍くなると思っていた。現にそう感じる。
しかし、「感性が鈍くなった」と感じるのは、「感性が鋭くなった」ことの証拠でもあるのではないか?
赤ちゃんは、「べろべろばー」できゃっきゃっと笑う。5歳の子供は、アリの巣を見続けてあきない。15歳の少年は、美しいお姉さんに見とれて、胸を焦がす。こうした事実は、子供たちの感受性を表している。
老人は、そうした子供たちを見て、心から感動する。それは、過ぎ去った自分のことだからだ。過ぎ去った時を思う時、老人は胸がきゅっとするくらい悲しい。老人は、鋭い感性を持って、それを感じる。